葉山、恭治…。
目の前で揺れる茶色い短髪の髪。
その隙間から見えるシルバーのピアスが、月明かりと街灯で光っていた。
「…なにしてやがる」
その声に、金髪の男は焦ったように掴まれた手を引こうとした。
だが、恭治にがっちりと掴まれていて虚しく体だけが動いた。
「…おい、聞いてんだ。…答えろや」
明らかに、恭治よりも年上なはず。
なのに、その声と言葉に男たちはビクっと肩を震わせた。
何だろうか。
恭治という男は、やはり凄い。
体格もやはり彼らの方が大きい。
それなのに怯むどころか、低い唸るような声で威嚇する。
しかし、恭治の登場はまた周りのざわつきを加速させた。
警察を呼んだ方が…という声が聞こえた時、恭治は小さく舌打ちをした。
そして、掴んでいた男の手を投げ落とすように離すと睨みつけながら言った。


