男たちはそれに気づく事無く、何も言わない俺に更に怒りを募らせているようだった。



急に俺の胸倉を掴み引き寄せ、頬に振り上げた拳を当てた。




鈍い音が聞こえ、悲鳴が響いた。



俺は殴られた処に手を当てる。




流石に痛いとは思ったが、あいつの拳には到底敵わない痛みだった。




あいつの拳の重みがこうやって別の奴に殴られて分かった。




やっぱあいつは、別格なんだと。



体だけ起きあげて、睨むように殴った男を見る。




「…チッ」



と短い、舌打ちが聞こえたと思うとがっとまた俺の胸倉を掴んだ。



「むかつくんだよ、お前の目…」



そう言った男。



俺は、ハッと乾いた笑いを漏らした。



眉をこれでもかと寄せた男は 何だよ という目で俺を見た。



「…お前の拳、全然痛くねぇ」



俺のその言葉に男はみるみるうちにさっきよりも険しい顔になった。




「ちっせぇ男…俺に触んなや」


胸倉を掴む男の手を、俺は掴み払いのけた。