冷めた目で俺を見る恭治。



だけど、もうそんな恭治が怖いとは思わなかった。




意外な一面を見てしまったからだろう。




俺はその目に屈せずに笑って口を開いた。




「進藤だ。進藤和希。」




恭治は俺の名前を小さく呟いた。


そして、小さく口角を上げると俺に背を向けて頭の横でヒラヒラと手を振って出て行ってしまった。





俺は恭治の後姿を見送った後、ふぅとため息をついたあと天井へと目を向けた。




何だったんだろう…。




あいつは、俺の名前を聞いてどうしようと思ったんだろう。





…もしかしたら、教えたらやばかったのかもな…。





でも、照れたあいつの顔…。




いい収穫だったかもな…。




俺は一人笑った。