「…失礼ですが、伸也様とは?」 失礼を承知の上で、恐る恐る聞いてみた。 すると一回驚き、また笑顔を見せ、話してくれた。 「少し驚きました。歩きながらでも宜しいでしょうか?」 そう言い、少し足早に歩きはじめた。 歩くたびに揺れる長い美しい髪は、フローラルの香りがした。 5月の風が、通り過ぎるたびに―――……。