眩しい朝日に

小鳥の戯れ、

爽やかな朝の通学路…



青希は息を切らし

走っていた。



いつもは自転車通学の

青希だが、

今朝タイヤのパンクに

気づいたせいで、

走って行くはめに

なっていた。



「何でパンクしてんだよっ。
このままじゃ遅刻だよ
遅刻ー」



青希の通学時間は

自転車でも15分は

かかる距離だ…



家から15分程

走った所で、

青希は足を止めた。



「ほんとならもう
着いてるころなのに…」



息を整え、

また走り出そうとした

その時…



青希の後ろから来た

自転車が、

少し前で止まった。



「リンク?」



振り返ったのは

春香だった。



「リンクどうしたの?
いつも自転車だよね?」



「春香…
自転車なんだけど
乗ろうとしたら
パンクしててさぁ…」



青希が春香のそばに行くと、

春香はポケットから

ハンカチを出した。



「汗凄いよっ…
家から走ってきたの?」



春香は青希の汗を

優しく拭いた…



「ちょっ…
春香…いいよ汚れるから…」



「いいからっ…」



照れる青希を

気にもせずに、

春香は汗を拭き取った。



青希の心臓は高鳴り、

また汗が噴き出しそうに

なっていた。



「ありがとう…春香…」



「よーしっ、
じゃあ行こうっ」



春香は自転車の

後ろをポンッと叩いた。



「えっ?なに?」



「なに?
じゃないわよっ。
早く乗って…」



「えー?
俺が後ろ?」



「うんっ」



春香は大きく一つ頷くと、

笑みを浮かべた。



清楚で大人っぽい

雰囲気を漂わす

春香が見せた

悪戯な笑顔は

まるで小悪魔の

ようだった…