「おまえは誰だ!」
いきなり背中から、声が聴こえてきました。

びっくりして、振り向いたロッティー。

一匹のくまの男の子が立っていました。

「あらっ! こんにちは」
「おまえはどこからきた?」
ずいぶん偉そうに、くまの男の子がロッティーに質問します。
「あたしはロッティー。ムーンライトの森からきたのよ」
「ムーンライトの森? ああ、荒れ地の向こうの『 知らない森 』のことか?」
知らない森? ロッティーの住んでいるムーンライトの森は
こちらでは『 知らない森 』と呼ばれているようです。

「じゃあ、ここの森はなんて名前なの?」
「ムーンウインドの森さ。きれいな名前だろう」
「ええ、そうね。あなたの名前は?」
「俺さまか?」
ロッティーに名前を聞かれて、くまの男の子はニヤリと笑いました。

「俺さまは、ムーンウインドの森の王様チャムだぞ!」
「ええー! 王様?」
くまの男の子は、ボール紙に金色の折り紙をはりつけて作った。
おもちゃの王冠をかぶっています。
とても王様には見えませんが……。
だけど、今までだまされたことがない、ロッティーは
王様だと、かんたんに信じてしまいました。