「どうだい、分かっただろう?」
「なにが?」
「君は見た目で、わたしをブタだと決めつけたのさ」
「ブタさんじゃないなら、あなたは誰?」
「わたしはしじんなんだよ!」

やけに偉そうに、ブタが胸を張って言いました。

「しじんって? そんな動物は知らないわ」
「しじんは動物ではない。月や星や風とも話ができるんだ」
「あたし、先を急いでいるので……さよなら」
ロッティーは、この変ったブタの元から去ろうとしましたが……。

「あ、ちょっと、君!」
「なにか?」
「わたしの話をもっと聴きなさい」
「あたし『 知らない森 』に行くので急いでいます」
「ふむ。だが、君はしじんのことを知りたくないのかね?」
「……じゃあ、しじんって、どんなことができるの?」
「いい質問だ! しじんは『 心の目 』を持っている。
――だから、真実が見えるのだ」
「ふーん……」
ロッティーには、ブタの言うことがよく分かりません。
「大事なことは目には見えない。『 心の目 』で見るのだよ」
「はい」
「君はだまされやすそうだから、用心をしなさい」
「ありがとう、しじんさん。じゃあね!」
ロッティーは再び『 知らない森 』を目指して
早足に歩きはじめました。