「おおー!」
三匹はおどろきました。まさかロッティーがチャムのために
一番大事な物を差し出すと思っていなかったから。
「きれいなガラスだな、ホントに俺たちにくれるのか?」
「ええ、だからチャムは許してあげて」
「わかった! ウソつきチャムはおまえに返す」
イノシシはチャムを放しました。
やっと、三匹は森の中へ帰って行ってくれたのです。

「ロッティーありがとう」
しんみょうな顔でチャムが礼を言ったが……。
「もう、あなたの顔なんかと見たくない!」
ロッティーは怒っています。
大事な色ガラスを三匹にわたして、くやしかったのです。

ムーンライトの森に向かって、はや足で歩くロッティーの後から
何か言いた気にチャムがついてきます。
「ロッティー怒ってる?」
「あなたのせいで、カラスのおばさんがくれた色ガラスをなくしたのよ」
「ゴメンよ……」
「もう! あたしについてこないで!」
きつい口調で、チャムに向かってそう言うと
泣きながら、ロッティーは荒れ地へ走って行きました。

――その後ろ姿を、チャムはしょんぼりと見送っていた。