「痛たたぁー」
「きゃあー、やめてぇー」
ロッティーもチャムもクチバシでつつかれて
逃げ回って、散々な目に合いました。

――黒いツバサの正体は一羽のカラスでした。

「おまえら、あたいの大事な色ガラスを盗もうとしたね!」
キッと怒った顔でカラスがにらんでいます。

ムーンウインドの森に住む、カラスのおばさんは
キラキラ光るきれいなものを集めるのが大好きで
町から、せっせっと運んできては
巣のある大きな木の周りに飾っているのです。

「俺じゃあない! 盗んだのはこいつだぁー」
そう言って、チャムはロッティーを指さして
そのまま逃げて行きました。
「そ、そんなぁー」
「おまえが犯人かい?」
カラスのおばさんは、ものすごく怒って
カァーカァーと大声で鳴きました。
またしてもドロボウにされたロッティーは泣きそうです。

「ち、違います! お返しします。わたしが盗ったんじゃありません」
ロッティーは必死でした。
そんな様子を、カラスのおばさんはジーと見ていて……。
「おまえは犯人ではないようだ」
「ええ、違います」
「うん。おまえは正直者の目をしているからね」
カラスのおばさんがニッコリ笑いました。