「こらー!」

大きな声で怒鳴られて、おどろいて振り返ると
クワをもった野うさぎがにらみつけています。

「にんじんドロボウめ!」
「ええー! ドロボウ?」
ロッティーはドロボウ呼ばわりされて、びっくりしました。

「わしの畑のにんじんをいっぱい盗みおって!」
野うさぎはクワをふり回して、ものすごく怒っています。
「だ、だってぇー、王様が食べてもいいって……」
「王様?」
「はい、王様が欲しいだけもっていけと……」
「ウソをつくな! 悪い子だ」
「そんな……」
ロッティーは野ウサギの農夫に怒られて
どうしてよいか、オロオロして困ってしまいました。

「王様! 王様ー!」
いくら呼んでも、どこにも見当たりません。
どうやらチャムはひとりで逃げてしまったようです。

そして……ロッティーは罰として、野うさぎの畑を手伝うことに
草むしりと水くみを百回やらされて、もうヘトヘトです。

それで、なんとか野うさぎの農夫に
『 にんじんドロボウの罪 』を許してもらいました。

――それにしても、王様さえいてくれたら
あたしが、にんじんを盗んだんじゃないって
分かってもらえるはずなのに……。

悔しくて、ロッティーは涙がこぼれました。