「まあ! 王様だなんてすごい」
「えっへん!」
チャムは偉そうに咳ばらいをします。
「ところで、王様にみつぎ物を持ってきたんだろうな?」
「えっ、みつぎ物? あのう、りんごをどうぞ」
ロッティーは、チャムに差しだしました。
「なんだ? りんごか、しけてるなぁー」
文句を言いながらも、チャムはりんごをあっという間に
食べてしまいました。

「もっと、みつぎ物は持ってないのか?」
ロッティーのリュックの中をのぞきこんでいます。
「りんご……もう、ひとつ、どうぞぉー」
「うんうん」

そして、チャムはロッティーのりんごを
かってに全部食べてしまいました。

「あぁーうまかった!」
王様チャムはとても満足そうでした。
ロッティーは食料のりんごを全部食べられてしまって
これからムーンライトの森に帰りたいのに……。
お腹がペコペコで動けません。
「あたしのりんごが……」
空っぽのリュックを見て、泣きべそをかきました。

「ん? おまえは腹がへっていたのか?」
「はい、王様……」
もうしわけなさそうな顔でチャムは
ロッティーを見ていましたが……。
ふいに、手を打って大声で叫びました。

「そうだっ! 俺さまにまかせろ!」

そして、ロッティーの手をらんぼうに引っ張ると
さらに森の奥へと、つれて行きました。