「私の優秀ぶりが知りたいなら、参観日に来てよ」

「参観日があるの?」
ママが尋ねる。

「うん、再来週の日曜日。来られる?」

「う〜ん。仕事が片付けば、日曜日なら行けると思うけ、どうかな? パパはどうだって?」

「何とかするって言ってたけど、締め切りにおわれて忙しそうだよ」

「そう、あの人も大変そうね。再婚すればいいのに」と、母は砂糖もクリームも入ってないコーヒーを口に含んだ。

本心だろうか?

「ママこそ、再婚しないの?」
私が聞いてみた。

「ママには仕事があるもの。それに再婚するぐらいなら、離婚なんてしなかったわよ」

つまりそれは・・・、どういう意味なんだろう?

「パパにも会いたいでしょ? 来てよ」

「わかったわ。都合つけてみる」

ママはパパのこと、今ではどう思っているのだろう?

「ねぇママ。パパのこと、今でも好き?」

「そうねぇ、好きよ」

ママがはっきりそう答えたのが、私には少し意外だった。

「じゃあ、何故別れたの?」

聞かずには、いられなかった。

それは私が、ずっと聞きたいと思っていたことだったからだ。

「後悔したくなかったの」

「後悔?」

私が聞いた。

私には、やっぱりよくわからなかったからだ。

たとえ仕事で成功したって、その喜びを分かち合う大切な人が側にいなきゃ、意味ないじゃない!

結局、ママは家族より仕事を選んだんだ。

それはまだ、私が子供だから、そう思うのだろうか?