「聖月ちゃん、この後暇ー?」


仕事の帰り際、毎回のごとく誘われる。

今回は都合のいいことに、白雪プロのアイドル、長谷川拓哉だった。


「あ、拓哉さん。はい、暇ですよ^^」


満面の作り笑顔で返すと、長谷川拓哉は「荷物とってくる」と言ってスタジオから出て行った。

その隙に、マネージャーでもある幼馴染の舜にメールをする。




Dear:舜

件名:無題

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長谷川に誘われた。

よろしく。

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「聖月ちゃん!お待たせ!行こう」

「あっ、はーい」

「誰とメールしてんのー?」


いたずらっぽい笑みで私の携帯を覗いてくる。

内容を見られないように、急いで閉じると不思議そうな顔でわたしを見つめた。


「もしかして彼氏・・・いんの?」


「まさかー。私が好きなのは・・・」


母親譲りの演技力を使って、いかにもあなたのことが好きですよオーラをだす。

すると長谷川は急に赤くなって私の手を握った。


「えっ・・・長谷川さ・・・」

「拓哉でいいよ」

「拓哉・・・」

「行こ」


男ってほんと単純。

馬鹿すぎて吐きそう。

でも、これで残るはSTORMだけ。

いろんなことを考えてる間に、私たちは長谷川の家の前にいた。