車の中で私はひたすら外を眺めていた


往路とは違った緊張感が体を支配する


私は匡人が好きだ


だけど匡人はどうなんだろうか…?


嫌われてはないと思う


あいつの性格的に、嫌いな女なら徹底的にシカトしそうだし…


ただそこに恋愛感情があるかと聞かれたらわからない


どうしよう…


怖くなってきた…


『寒いのか?』


隣に座る匡人が尋ねてきた


「平気」


寒くて震えていたわけではない


車内の冷房はちょうどいいくらいだった


『ほらっ』


私の膝の上にタオルケットが投げ込まれた


『使え』


ぶっきらぼうだけどさりげない気遣い


「うん―…」


私は嬉しくなってタオルケットで体を包んだ


ねえ…匡人…


思い返してみればいつもそうだったね…


私が泣いてるときにはいつも傍にいて皮肉を言いながらも慰めてくれた


あんたの不器用さ


この上なく愛おしいよ―…