『せっかくの夏休み…なのに…』


スルッと力が抜け、風船が萎むかのように美弦の勢いが小さくなった


美弦の最近の現状を知っているだけに少し可哀想になる


高屋先輩はサラリーマンじゃあるまいに毎日、会社に出勤しているらしい


美弦との時間を確保するのもままならない


婚約者にここまでほっとかれたら普通、キレるよなぁ…


会いたいってワガママ言わず、我慢する美弦の姿に私も心打たれたのかもしれない


「仕方ないなあ…今回だけだからね!!」


そう言うと美弦はぱあっと顔を輝かせた


『ありがとっ!!』


こうして私達の旅行が決定した









この旅があいつへの想いを変化させるなんて…


この時の私は全く


考えていなかった――…