赤い狼 壱






っていうか…




「隼人っ!私、そんなの聞いてないんだけどっ!!」




ねぇ、と怒りながら雑誌を黙々と見ている隼人に近付く。



でも、隼人はそのまま雑誌を見ながら、しれっとした口調で。




「教えてねぇんだから当たり前だろ。つーか、知らねぇ方がおかしい。」



「はぁ?どういう意味よ。私が馬鹿だって言いたいの!?」



「少しは落ち着け。」



「落ち着けてたら、とっくに落ち着いてるわっ!」



「おい棗。」



「了解。稚春、俺が説明するから取り敢えずこっちに座って。」




隼人が私の扱いを諦めた。代わりに棗が説明をしてくれるらしい。



まぁ、棗が説明してくれるんなら大人しくしておこうじゃないか。




「…分かった。」




棗が指定したソファーに渋りながら座る。




「…で、稚春はどこが分かんない?」




分からない事あったら何でも言って。と優しく私に聞いてくる棗。


し、紳士だ。棗がキラキラと輝いて見えるよ。本当、誰かさんとは大違い。