棗、銀、連、奏。
よし覚えた。
で、銀と連、奏が幹部で……って、ん?
「棗さっき、副総長とか幹部が何とか言ってなかった?」
「あぁ。うん。言ったよ?」
ゴクリ。自分の唾を呑む音が聞こえる。喉が上下するのが分かった。
「それって…もしかしなくとも…暴走族みたいな感じ?」
違う、と言ってほしい。
違うって言ってくれなくちゃ困る。せっかく平和に生きてきたのに急にそんな、大変な事。
「うん。普通に考えてそうじゃない?俺らは、《SINE》っていう族だけど?」
終わった…。
棗の言葉を聞いた瞬間、サーと血の気が引く。
別に、恐いとか思ってるわけじゃない。とんでもない奴らに出逢ってしまった、と落胆する思いが多い。
「本当にっ!?棗、嘘ついてない?」
「嘘つく必要が何処にある?」
嘘であってほしい、と願うように尋ねる私に、棗がフフッと笑う。
…ですよねぇ。嘘なんて、つく必要ないですよね。

