赤い狼 壱






棗、銀、連、奏。


よし覚えた。


で、銀と連、奏が幹部で……って、ん?




「棗さっき、副総長とか幹部が何とか言ってなかった?」


「あぁ。うん。言ったよ?」




ゴクリ。自分の唾を呑む音が聞こえる。喉が上下するのが分かった。





「それって…もしかしなくとも…暴走族みたいな感じ?」




違う、と言ってほしい。



違うって言ってくれなくちゃ困る。せっかく平和に生きてきたのに急にそんな、大変な事。





「うん。普通に考えてそうじゃない?俺らは、《SINE》っていう族だけど?」




終わった…。



棗の言葉を聞いた瞬間、サーと血の気が引く。


別に、恐いとか思ってるわけじゃない。とんでもない奴らに出逢ってしまった、と落胆する思いが多い。




「本当にっ!?棗、嘘ついてない?」



「嘘つく必要が何処にある?」




嘘であってほしい、と願うように尋ねる私に、棗がフフッと笑う。



…ですよねぇ。嘘なんて、つく必要ないですよね。