赤い狼 壱






「もうその辺にしとけって。隼人も連も。稚春が泣きそうな顔してるだろ。」




すると自分の頬を叩こうとしていた私の手をやんわりと握って、大丈夫だよ、と柔らかい笑顔で笑ってきた男の人が目に入った。



切れ長な目が優しく微笑む。




さっきまでの体の震えはいつの間にか消えていた。




でも、この人が仲裁に入った事でまた喧嘩になったらどうしようかと思ったけど全くのその逆で、


隼人は怒るのを止めて連はブツブツ文句を言いながらも私から離れた。




……手は握ってるけどね。




連の可愛い行動に小さく笑いつつ、仲裁に入ってくれた人を見る。



この人凄い。あの俺様猛獣隼人様をいとも簡単に止めやがったよ。マジで尊敬。




いっそのこと拝んでしまおうか、と仲裁に入ってくれた人に神的な凄さを感じながらその人をジッと見つめる。


ハッ!もしかして本物の神様なんじゃないだろうか。


そ、そそ、それは凄い!!