赤い狼 壱






…はぁ?
目障りって何だ。




「ちょっと、そんな事言ったら連が可哀想じゃない。別にいいじゃん。甘えてるだけでしょ?」



「あ?良くねぇ。連、稚春から離れろ。」




お前は黙ってろ、そう言われてカチンとくる。何だ何だ!偉そうに!!



隼人にドスのきいた声で言われても私から離れようとしない連の頭をよしよし、と擦る。



もう、本当に可愛い。




「ねぇ、もういいじゃん。隼人。」




何を怒ってるんだか知らないけど、もっとにこやかに過ごそうよ。


この場を穏やかにおさめたくて隼人の怒りをなんとか鎮めようと声をかける。




「稚春は黙ってろっ!」




でも、なんでか隼人の怒りを買ったらしく、さっき言われた事をもう一回怒鳴られる。




ビクッと肩が震えた。



隼人が鬼のような目で睨んできて恐い。



何をそんなに、怒ってるのか。知りたい、だけなのに。そんなに怒らなくてもいいじゃん。





じわっ。



思わず、泣きそうになる。



涙が目の縁に溜まってきた。




泣いちゃダメ、と頬を叩こうとする。