赤い狼 壱






「で、何歳だと思ってたんだよ。」



やっと落ち着いたらしい。まだ殴り付けて痛めた手をひらひらとしては握ったり、またひらひらしたりとを繰り返してるが相変わらずすました顔をしているから大丈夫だろう。まったく。物に当たるからだ。



「25歳くらいかなーって思ってたんですよ。茂さんが色気ムンムンなイケメンセクシーだからそのくらいなのかなって。私と三つ違いとは思わなかったですよ。」



びくびく。さっき怒った茂さんが怖かったから様子を伺いながら言う。すると、「なんだって!?」またまた過剰反応した茂さん。


私の体はもちろん、ひえええええー!と怖がってびくりと肩が跳ねた。思わず身構える。何何、またなんかおかしいこと言った!?



だけれど私が予想していた罵声は聞こえなくて。



「もう一度言ってくれ、稚春ちゃん!!」


「……はい?」



なんともまぁ、キラッキラな瞳と興奮した声を私に向けてきた。


言って?何を????


茂さんの意味の分からない言葉にまさしく頭にはハテナマークだ。



と、



「そうなんだよ、俺は誰もが羨むセクシー色気ムンムンなんだ!」


「…………。」



茂さんって馬鹿なんだなって思った。




「はーい、安全運転してくださいねー。」


「え、無視?今の台詞無視!?」


「前見てくださいねー、事故しますからー。」



完全にさっきの茂さんの自慢気な声をスルーして安全運転を催促する。



「……分かったよ。安全運転すればいいんだろ!」



拗ねた茂さんが唇を尖らせながら真面目に運転しだしたから集中を切らさないため、話すのを止めて《SINE》に着くまで窓から見える景色でも見ていようと外を見る。



「なぁ、稚春ちゃん。」


「前。」


「………。」



茂さんは集中力を鍛えた方がいいと思う。