赤い狼 壱






……、そういえば。



「茂さんって何歳なんですか?」


「え。話題の展開早くね!?」


「何歳なんですか?」


「………ねえ、人の話聞く気あるかなぁ?稚春ちゃん。」


「………何歳?」


「はぁー…。………言ってなかったっけ?俺、二十歳。」



口を開けば何歳なんだ。しか言わない私に茂さんがとうとう諦めて白状した。ため息はいらなかったけど。


それにしても二十歳だなんて。見えない。茂さんってなんかこう…、イケメンセクシー色気が凄いんだよね。だから、25くらいだと思ってたんだけど。



「意外と子供なのね。」


「…………なんだと?」



ぽそり。私がふと溢した一言に低い声で反応を示した茂さん。


え、なんかおかしいこと言った?と声の主を見ると、茂さんは右の眉毛をピクピクと上につり上がらせて口元は綺麗な弧を作り上げていた。



こ・わ・い。



そんなにさっきの言葉が嫌だったのか。意外と若いということを言いたかっただけなんだけど…。



「俺のどこが子供だって!?俺は大人だ!歴としたダンディーな大人だ!!そんじょそこらの男とは格が違う大人男子なんだぞ!!!」


「ダンディーな大人はウホウホとか言ってゴリラの真似はしないと思うよ。」


「ウホホホホホ!!!」


「ほら、言ってんじゃん。」


「あぁん!?」


「な、なんでもないです!」



ひぃ!すんごい怖かった!目がクワッ!てなった!茂さんすんげぇ怖かった!やっぱり子供じゃない!!!




「何歳だと思ってたんだよ!」



バンッ!!

茂さんがハンドルに拳をぶつけて文句を言う。そしてハンドルを殴った手をひらひらと煽った。あ、痛かったのね。すました顔してるけど痛かったのね。


茂さんは意外と痛さに敏感だ。