赤い狼 壱






「ところで、茂さんの綺麗な顔立ちってどうやったらなれるんですか。何食べたらそんなんになれんの?」


「食べたらなれるものなのか?」



不思議そうに茂さんが呟いてるけど、私が生きてきた中でこんな顔が整った人に会えたのは初めてだ。


ぜひともその美顔の秘訣を聞いて隼人に勝たなければ。あの赤髪ときたら。いつも偉そうにしやがって。今に見てろよ!!絶対茂さんから美顔の秘訣を聞いて「お前の時代は終わりだ!見ろ、この綺麗な顔を!どうだ、参ったかぁ!」と言って負かせてやるんだ!



「おーい。楽しい想像中すまんが心の声、全部漏れてんぞ。」


「はうっ、」


「(稚春ちゃんって変わってるよな。)」



こいつ変だぞ。みたいな感じで茂さんが見てきているけど気にしない気にしない。運転中の茂さんががっつりこっちを見ていることによって前の車にぶつかりそうだけど気にしない気にしない。

美顔の秘訣を聞くまで私は茂さんから離れないぞ!




「教えてよー!何食べてんの?何食べたら茂さんになれるの?ゴーヤ?パパイヤ?マンゴー?キャビア?フォアグラ?高くね?値段高くね?そんなもん毎日食べてたらそりゃ美顔になれるわなー。」


「え、俺になるの?稚春ちゃん、俺になりたいの?」


「教えてよ茂さんんんんんんんん!!!」


「助けてぇえええ!!殺されるぅぅううう!!」




茂さんの首をガッ!と掴んでガクガクガクガク。横に、縦に、右へ左へと首を振り回す。これぞ、白兎稚春の必殺技、首の前後左右運動だ。メリットは首を前後左右へと動かすため、リンパの流れと血流が良くなり、顔の老廃物が溜まりにくくなるという、されたらありがたい健康的な必殺技なのだ。



ちなみに今、私達の乗っている車は走行中だ。もちろん、茂さんの華麗な運転で。