「え、今噛んだ?」
「思いきり噛んだな。」
「平然としてっけど噛んだよな。」
「にょ、とか言ってたよ~。」
「稚春は噛んでねぇよっ。」
「あれは噛んだな…。」
皆が私に聞こえないように話を繰り広げる。それを横目で見ながらいっそのこと大声で喋ってくれと切実に願った。マジで願った。
「ま、まぁくだらない喧嘩は止めようじゃあねぇか。」
「う、うん、そうだねぇ。稚春がそのつもりなら無意味だしねぇ~。」
「熱くなって損したなー。パソコンやるかな。」
「俺は認めねぇぞっ!」
「おい連。妄想はその辺までにしとけ。稚春は俺のだ。」
気を使われると逆に胸が痛いんですが。
私に目を合わさないようにそれぞれさっき居た場所に戻る光景にドアを乱暴に開けて逃げたしたくなった。
くそう、羞恥だ。
でも恥ずかしいからといって逃げたしてしまうのもなんだか気に食わなくてソファーに腰かけている連の隣に座ってため息を一つついた。なんだか一気に疲れた。

