赤い狼 壱






「稚春が連の女なわけないだろっ!」



「しばくぞコラァ!!」



「場合によっては尻叩き百回だぞ!分かってんだろーな!!」




何故か銀たちまで連の発言に対して文句を言い出した。




え、尻叩きって何。塚……あなたたち、さっきまで普通に静かだったのに何故喧嘩しだすんですか。妙に尊敬するんですけど。




なんだか知らないけど私の背中越しに喧嘩が始まっている。それにしてもこの喧嘩の材料は私なはずなのに私の意見は採用されないって、どーゆうことなわけ?




そう思うと沸々と怒りが込み上げてきた。何だよ、私も仲間に入れろよ!稚春ちゃん、怒りモード突入です。





「昨日も言ったけど私、誰のもにょにもなりゃないからっ!!」




わぉ、噛んじゃったよ。




皆に向かって大きい声で、堂々と、正確に叫んだはずの言葉は噛んだことによって全く意味のないものとなってしまった。


うん、ちゃんと自分の耳でも確認できてたよ。にょ、とかりゃ、とか入ってたからね。





しーん、とさっきと打って変わって静まり返った空間に苦笑いを溢す。


どこでもいいから穴に入りたい気分だな、今。