落ち着いた心臓から手を離して稚春を見る。すると、ため息を溢して俺を見てきた。ニコニコ、稚春の前では自然と顔が笑顔になる。
でも、次の瞬間眉間に皺が寄った。
「…あのね、あんまり学校には来ないで欲しいの。」
「……何で。」
申し訳なさそうに眉を下げて言う稚春に自分の低い声が落ちる。
すると堰(せき)を切ったように言ってくる稚春に俺も言葉をぶつける。それでも引こうとせずに稚春の目を見つめる。
見つめている内になんだか悲しくなってうるうると瞳が潤ってきた。
何だよ。俺がせっかく迎えに来たのに。嫌いな女の中で30分くらい待ったのに。
こんなに簡単に泣くなんてことなかったのに泣きそうになって拳を握りしめる。
すると、稚春が諦めたように
「…分かった。でも、ずっと校門の前で待つのは止めて。次からは学校終わったら連に電話するから。はい、ケー番!!」
携帯の赤外線送信画面を見せてきて飛び上がるように喜んだ。
マジで稚春サイコー!!
受信した稚春のデータを見てニヘヘ、と気持ち悪いくらいの笑みを浮かべる。