ふわり、鼻を掠めた甘い匂いに顔が綻ぶ。スゲェ稚春のこと好きだな。ちゃんと恋愛対象として。
稚春にスリスリしながら稚春の匂いを貪っていると、意味不明なことを稚春に言われて唖然とする。
「わんっ。」て言えだと?
一瞬、何プレイだよ。とツッコミたくなったけどあまりにも真剣な顔で見てくるからその言葉を引っ込める。
稚春が言うならしょうがねぇな。と稚春に聞こえないように小さな息をついて、口を開いた。
「わんっ!」
どうにでもなれ。と思いきり叫ぶように言ったセリフに羞恥心が活動して少しだけ顔が赤くなった。
こんなことさせるの稚春くらいだ。という思いを含めた視線を稚春に向けると、すごく柔らかく笑っていたから顔を背けた。
……こういう顔をしてくれんならいつでも「わんっ。」って言ってやる。
顔を赤らめながらそう思った。
「まぁ連。ここから離れようよ。」
「なんで?」
「いいから。」
俺の腕を強引に引っ張ってくる稚春に首を傾げながらついていく。
…どこに行くんだ?

