「軽っ!」
スタスタとどこかに歩きながら連が驚いたようにそう言う。
私はいわゆる"お姫様抱っこ"というものをされていて、プチ……いや、大パニックだ。
「恥ずかしい恥ずかしい!!塚、どこに向かってんだ!」
「どこって《SINE》しかねぇじゃん。」
「自分で行けるから降ろせ!」
「ヤダ。」
「お願いだからこのまま行かないで!」
「その反対をしたくなるのが俺の特徴ー。」
「窒息死させてやる!」
「どんだけ長い間キスすんだよ。お前は銀か。」
「どっからそんな話になった?」
ケタケタと楽しそうに笑う連の頭をボカッとグーで思いきり叩く。
連は一瞬顔を歪めたけど「何しても可愛く見える。」甘いセリフを言いながら笑った。余裕だ。
この時切実に願った。
取り敢えず、誰でもいいからこの状況から救ってくれ、と。

