赤い狼 壱






「軽っ!」




スタスタとどこかに歩きながら連が驚いたようにそう言う。



私はいわゆる"お姫様抱っこ"というものをされていて、プチ……いや、大パニックだ。




「恥ずかしい恥ずかしい!!塚、どこに向かってんだ!」



「どこって《SINE》しかねぇじゃん。」



「自分で行けるから降ろせ!」



「ヤダ。」



「お願いだからこのまま行かないで!」



「その反対をしたくなるのが俺の特徴ー。」



「窒息死させてやる!」



「どんだけ長い間キスすんだよ。お前は銀か。」



「どっからそんな話になった?」





ケタケタと楽しそうに笑う連の頭をボカッとグーで思いきり叩く。



連は一瞬顔を歪めたけど「何しても可愛く見える。」甘いセリフを言いながら笑った。余裕だ。




この時切実に願った。




取り敢えず、誰でもいいからこの状況から救ってくれ、と。