赤い狼 壱






でも満面の笑みで抱きついてくる連を見たら嬉しいとかいいな、とか思った。



なるべく無意味に抱きついてくる癖は直してほしいけど。



今は可愛いから許す。




「つーかよ、女って怖いよな。」




抱きついたまま急に喋りだした連の低い声に、たぶんとんでもなく緩んでいる顔を両手で覆いながら耳を傾ける。




「私も女だよ?」



「稚春は別!俺はさっきの女たちのことを言ってんだ。」



「あ。さっき囲まれてたやつ?」



「あぁ、あれは死ぬかと思った…。」




そう言いながらブルッと身震いをする連。




「………。」




それを見て、そんなに嫌いなら会いに来なかったら良かったのに。と思ってしまうのは私だけなんだろうか。



いや、たぶん来たのは私のためなんだろうけどさ。なんていうか…こう……。連に悪いじゃん?





「おい稚春。今そんなに嫌なら来んなって思っただろ。」



「そんな酷い感じで思ってない。」



「似たようなこと思ったんだな。」




……エスパー連。




隼人に続き、連がエスパーだと自白しやがった。恐るべし暴走族。




「………思ってない。」



「なんだ最初の間は。つーか顔に出てるし。…まぁ、そういう所が可愛いんだけど。」



「………。」