それでも私にうるうるとした瞳を向けられたら。
「…分かった。でも、ずっと校門の前で待つのは止めて。次からは学校終わったら連に電話するから。はい、ケー番!!」
……折れるしかない。
悲しそうにしていた目を一瞬にしてキラキラとした目に変えた連に赤外線の送信画面を見せる。
それを見た連は「わぁいっ!!」万歳しながら子供みたいに喜んで素早く受信した。
「嬉しい?」
「おう!嬉しいっ。」
「そう。私も連が喜んでくれて嬉………、」
ハッとして慌てて口を閉じる。なんだ私。なんだなんだ!今のはなんだ!?はぁー、……馬鹿だ私。こんな奴の嬉しそうな顔見て私も嬉しいなんてどうかしてる。
さっき自分が口にしてしまうところだった言葉を心の中で呟く。
…嬉しい。
なんて、初めて思ったかもしれない。
「…っ、」
そう思ったらなんだか恥ずかしくなって。
「稚春、ありがとな?」
「別に。」
「…顔赤いぞ?」
「うっさい!!」
「って!何で叩くんだよ!」
顔がたちまち赤くなった。
「(くそう。油断した。)」
「柔け~。」
「……変態。」

