赤い狼 壱






「はぁっ、はぁっ、」



「なんつー速さだアレ。オリンピックに出れるんじゃねぇか。」




怯える連にフッと笑う。男を追いかける女の足の速さっていつもの三倍だよね。マジで怖かった。




さっきまで手を伸ばしながら追いかけてきていた女の子たちを思い浮かべる。獲物を狙う目をしてた。あれ、本来は男がやる目なんじゃなかろうか。




まぁ撒けたから関係ないけど。


女の子たちから逃げるために走ったおかけで乱れた息を建物の陰に隠れて整える。



なんで私はこんな大変な思いをして下校してるんだ。原因はもう分かってるけど。




「…で。何で連はあそこに居たの?」



「ん~?稚春が来んのが待ちきれなかったんだよ。だから電話しようと思ったけど隼人がケー番教えてくれねぇからさ。稚春のこと迎えに来た☆」



「………。」





一言で言おう。迷惑。



「迎えに来た☆」じゃねぇよ。



思わず言葉を失う。何故そんな行動をしてしまうんだろうか。謎だ。謎すぎる。



不良の考えることは分からん。