赤い狼 壱






「連、「わんっ。」って言って。」



「はぁ?」



「いいから言って。」



「わんっ!」




取り敢えず乱れた心を通常に戻せた。連の「わん。」すごい。




「なんで俺「わん。」って言わされてんだ?」と首を傾げる連に曖昧に笑う。



連が時々、犬に見えるから。とは死んでも口にできない。言ったとたんに首を絞められそうだ。




「まぁ連。ここから離れようよ。」



「なんで?」



「いいから。」




「もっとゆっくりしようぜ。」なんて言ってくる連に「周りを見て。」連の顔をガシッと掴んで右から左へと動かす。




すると、私を抱きしめていた手にぎゅっと力が入ったのが分かった。



やっと今の状態に気付いたか。




「ほら行くよ。」



「おおおお女!!」



「私も女。」




驚いている顔や睨んでいる顔。時には「連様…。」とか呟いて頬を赤らめている顔を見て青ざめる連の顔を見て苦笑する。





私も女、なんだけど。