ふふっ、と顔を緩む。
すると、それを見ていたらしい香が「今のもう一回やって!さぁ笑うの!!」必死になって手を握ってくる(もはや潰す勢い)から顔を顰めた。
女のくせに力強いな。
「香、その辺で止めときな。稚春が痛そうだって。」
「実…。」
「感動はいいことだけど抱きついてくんなよ。ってか何で稚春は今日遅刻?稚春が遅刻なんて珍しくない?あ。もしかして、お腹痛いの治った後に男と逢ってたの?」
――ギクッ――
最後の方はニヤニヤしながら言ってきた実の鋭い質問に一瞬、動揺してすぐにその動揺を隠す。なんだってこんなに実は勘がいいんだ。
「違うし!昨日はお腹治ったら急にゲームしたくなってしてたら夢中になっちゃってたの!」
「ムキになるのが怪しいわね…。まぁ、稚春は無類のゲーム好きだから信じなくもないけど。」
「(疑ってるな。完全に。)」
「夜更かししない程度にしなよ。」
「…あい。」
まぁ許してやるか。みたいな顔でそう言われて俯いた。
あーぁ。友達に嘘つくって厳しいな。

