WCと書かれたドアを開ける。
周りを見渡すと、入ってすぐのトイレの鏡に自分の顔が映った。
鏡越しに自分を指で触りながら、私が小さかった頃の事を思い出す。
――――あんたなんてこの世から消えればいい。
――――お前なんか生まれなかったらよかったんだ!
――――食わせてもらえるだけありがたく思え!!
誰かが昔、そんな事を私に言ってたよなぁ。
でもまぁ…
私もそう思うよ。
私、要らない人間だし。
誰も、私を必要とはしてくれない。
役立たずな私。
もし、こんな私を必要としてくれる人が居たとしたら見てみたい。
…まぁ、私が必要とか言ってくれるんだから多分、変わった人だろうけど。
フッと自虐的な笑みを浮かべる。
鏡に映った自分が歪んで見えた。

