静かな一階に不思議に思いつつ、乱れた息を整える。
俺が女のために走るなんて考えられねぇ。
その場で固まっている稚春の後ろ姿を見つめる。
なぁ、俺おかしいんだけど。
急に稚春の顔が見たくなって無理やりこっちに顔を向かせる。
「俺が送る。」
…ほっせぇ身体。カラオケの時も思ったけど、ちょっと力入れたら折れるんじゃねぇ?
肩を掴んでいる力を少し弱めて稚春の顔を見る。
すると、えっ?何で?と混乱した稚春の顔が目に入った。
…俺も何でか分かんねぇよ。
「お、送る…?」
「あぁ、送る。」
目をあちこちに移動させて戸惑う稚春の手を強引に引っ張って《SINE》の裏にある倉庫まで歩く。
その間、俺の後ろを歩いている稚春からの痛ぇ視線に耐えきれなくなって振り向いた。

