「追い掛けんのか?」
銀の言葉にハッとして稚春の後を追う。
すると、棗が俺の名前を呼んできた。
「んだよ。」
「あの子の名字は?」
「……、」
「隼人。」
棗が早く言え、と俺に訴えかける。んだよ。分かったよ。
「白兎。白兎稚春。」
「そ、行ってらっしゃい。」
ニコリと笑う棗に舌打ちを溢して今度こそ部屋を出る。
まだ遠くには行ってねぇだろ。まだ追い付くはず…!
稚春を探しながら走ってる途中、笑いが込み上げてきた。
何、一人の女ごときでこんなに焦ってんだよ。ダセェ。
こめかみから顎まで伝ってくる汗を服の裾で拭う。
~~~~~っ!!
だぁーーー!俺らしくねぇとかもういい!!こうなったらヤケやけだヤケっ!
歯を食い縛って前を見る。すると、拳を握りしめて立ち止まっている稚春を見つけた。
居た!
「勇気は私にも「おい。」」
何かを呟いていた稚春の握り締めている拳を包み込むようにして掴む。
稚春が何してんのか、とか今はどうでもいい。
もう少し、傍に居てくれ。

