うぜぇ。土下座しようとしてんじゃねぇよ。つーかそんな事すんなら俺の女になれ。
だって…、と口を尖らせる稚春に顔を顰める。だってじゃねぇよ。こっちは絶賛傷付き中なんだ。
ソファーに腰かけたまま、目の前に足を上げるのに丁度いい高さの机に足を上げる。
足だりぃ。歩き過ぎたな、今日は。
カラオケから《SINE》に稚春を担いで歩いた事を思い出す。あれが効いてやがるな。
原因が分かって満足する。それなのにまだしつこく話し掛けてくる稚春に少しイラッとした。
だからつい、ひでぇ言い方をしてしまった。
しまった、と思った時にはもう遅かった。眉を吊り上げて怒る稚春が目に入る。
そしてその場にスクッと立ち上がった稚春が俺を睨んで。
「もう帰る!」
「はぁ?冗談…っておい!待て!稚春!!」
鞄を掴んで出口へと速足で歩いていく。
どうせ帰らないだろうと思っていた俺には予想外の展開で思わず声を張り上げて、稚春を呼び止めた。
だけど稚春は足を止めるどころか逆に速めて。
「ムカつく!!」
俺に舌を出してドアを力いっぱいに閉めていった。
バンッ!とスゲェでかい音を立ててドアが閉まる。

