そして、開いたドアから見えた光景に自分の目を疑った。
「っっ!よっしゃーー!!勝ったぜっ!稚っ春ー!」
「おぉー!良かったねぇ。って、ギャー!押し倒すなっ!!」
ゴチンッと床に頭を叩きつけていい音を鳴らす稚春を見つめる。
いや、正確に言えば"稚春の上に乗っかってる奴"を見てだ。
「稚春、好き好き~。」
ソイツは稚春の頬にすりすりと自分の頬を擦り付けている。
………んだこれ。ドッキリか?
飼い主になつく猫みてぇな行動をしている連をガン見する。
あ、あり得ねぇ。あの女嫌いな連が、あり得ねぇ。
と、呆然とその場に突っ立っていたら稚春が俺らに気付いた。
「あ。どうも。」
軽く頭を下げた稚春は俺の後ろに視線を移して、すぐに連へと視線を戻す。
目を細めて連の頭を撫でる様は母親のようだ。
「…おい。連って、女嫌いじゃなかったか…?」
ポツリと低い言葉を部屋に落とす。

