そのまま急ぎ足で一直線に歩く。
もう少しで出口だ。
やった!と心を弾ませる。帰ったらお風呂に入って寝よう。
そして、出口までもう少しのところで───
「稚春!」
捕まってしまった。
悪魔こと、実に。
出ようとする私を走って追ってきた実は、私の耳元で周りの人達に聞こえないように小さく喋る。
「ちょっと。何で役目まだ果たしてないくせに帰ろうとしてんの?」
「役目って何っ!」
「あの玉ねぎの世話よっ!」
実が当然でしょ、と言うような態度で私を見てくる。
……ええぇぇえぇ。そんなのいつ決まったんだ。
あまりの身勝手な実の発言に絶句した私に実は、だから早く戻ってよ。と少し怒り気味に呟く。
戻ってよ、って…。
嫌に決まってんじゃん。

