赤い狼 壱






「…珍しいじゃねぇか。隼人が集まれって言うなんてよ~。何かいい事でもあったのかよ、隼人。」




銀がニヤニヤと顔をニヤつかせながら俺をからかう口調で言ってくる。




「うるせぇな。早く乗れ。」



「キャー!隼人様のお怒りよーー!皆逃げて~!僕ちん殺されちゃう!」




不機嫌な声を出すと、オネェ言葉で喋る銀が車に乗りながらはしゃぎ出した。うぜぇ。激しくうぜぇ。



早く乗れよ、と車の入り口に立ち止まっている銀の背中に蹴りを入れる。銀が車内にぶっ飛んでいった。少しスッキリ。




「隼人は銀のそういうところが癪に障るんだって。」



「本当、いつもご苦労だね~。棗は!」



「そう思うんなら奏も少しは銀の相手しろよ。」



「いや~、それだけはごめんだね~。」




棗のジトーとした視線から逃れるように車に乗り込んだ奏に棗がため息を吐き出した。




その気持ちすっげぇ分かる。うぜぇよな、この車内に居る二人。



顔を顰めながら棗を見ると棗も疲れた顔をして俺を見ていて。


二人でフッと同時に鼻で笑った。




ま、なんだかんだ言って付き合い長ぇもんな。《SINE》のメンバーとは。



うるせぇけど楽しいからいいか、と車に乗る棗の後を追った。