赤い狼 壱






「奏、お前は馬鹿か?一体、同じ事を何回繰り返せば気が済むんだ。」




俺の足元に転がっている男達を見下ろして大きく息をつく。




まぁ、俺が言えた事じゃねぇけど。


苦笑いを溢しながら奏を見る。奏は、だって~。と口を尖らせるだけ。


反省なんてしてねぇ。つーか奏がするわけねぇ。




「やり過ぎだろ。」




喧嘩した原因が"肩が当たったから"と説明した奏に呆れる。



喧嘩売られたんなら分かる。でも肩が当たった、は納得できねぇ。お前はチンピラか。




俺の言葉を聞いてほんの少し眉を下げる奏の髪をグシャグシャと乱す。


分かるけどよ。暴れたい理由。俺もそうだから。



胸が苦しくなる感覚に襲われながら、棗に《SINE》に居る何人かの奴等をここに呼ぶように指示する。




「もう電話して知らせたよ。つーか隼人は用事があったんじゃないのか?」



「あぁ。だからお前等を迎えに来た。」




首を傾げる棗に早く車に乗れ。と顎で合図をする。


それを見た棗が銀と奏を車の中に誘導し始めた。本当、何も言わねぇでも分かるってこの事だよな。



いい相棒持ったよ、と口角を上げる。