赤い狼 壱






俺は正直、モテる。



まぁそれはルックスだけじゃねぇ。《SINE》の総長だっつーのもあるだろうが、実際に《SINE》に入ってねぇ頃にも結構モテてた。

そりゃあ遊び放題、選び放題できるほどに。



それに《SINE》の総長っつー肩書きが出来たのもあって今は女には困らねぇ状況だ。



だから俺の彼女宣言を喜んで、快く俺のもんになってくれると思ってた。


だが、稚春はどうやら違うようだ。




ムスッとした稚春の顔を不思議に思いながら見る。


女はぜってぇに俺を否定できねぇ、拒めねぇ。つーか拒む必要がねぇって思ってたけど、それは俺のとんだ勘違いだった。




だって現に今、俺にこの俺の女発言をされて機嫌を悪くしてる奴が目の前に居る。




「あ゛?俺が稚春の事彼女って言ってんだ。稚春は俺の女だ。つべこべ言わず着いて来い。」




そんな稚春に不思議な奴だと感じながら内心ワクワクしていた。



何てったってこの俺に言い寄られても靡(なび)かねぇ女。


俺に惚れさせてみてぇって思わねぇか?