俺は正直、モテる。
まぁそれはルックスだけじゃねぇ。《SINE》の総長だっつーのもあるだろうが、実際に《SINE》に入ってねぇ頃にも結構モテてた。
そりゃあ遊び放題、選び放題できるほどに。
それに《SINE》の総長っつー肩書きが出来たのもあって今は女には困らねぇ状況だ。
だから俺の彼女宣言を喜んで、快く俺のもんになってくれると思ってた。
だが、稚春はどうやら違うようだ。
ムスッとした稚春の顔を不思議に思いながら見る。
女はぜってぇに俺を否定できねぇ、拒めねぇ。つーか拒む必要がねぇって思ってたけど、それは俺のとんだ勘違いだった。
だって現に今、俺にこの俺の女発言をされて機嫌を悪くしてる奴が目の前に居る。
「あ゛?俺が稚春の事彼女って言ってんだ。稚春は俺の女だ。つべこべ言わず着いて来い。」
そんな稚春に不思議な奴だと感じながら内心ワクワクしていた。
何てったってこの俺に言い寄られても靡(なび)かねぇ女。
俺に惚れさせてみてぇって思わねぇか?

