赤い狼 壱






「お前の家まで送らせろや。」



でも隼人が脅迫以外に何と言えばいいんだ、というような台詞を言ってきたから二文字で返事をした。



しょうがない。チキンな私には断れなかった。鬼が居たんだもん。隼人の後ろに。





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「ありがとうございました。」




結局、家まで送ってもらってしまった。


だからせめてものお礼としてお金を隼人と運転手さんに渡そうとしたら隼人に受け取り拒否をされた。



それならこれしか持ってない、と制服のポケットから取り出したキャンディーを無理やり隼人と運転手さんにあげた。




隼人は凄く不思議がってた。




「そんなもん、どこから出してくるんだ?」




って言いながら爆笑してた。




面白い事なんて全くなかったと思う。でもまぁ、お礼はできたから良かった。




「はいはい。お子ちゃまで悪かったわね。」




半ば拗ねながら手をひらひら揺らす。それを見て隼人はクスリと笑った。




「馬ー鹿。」



「馬鹿で結構。」



「あぁ、馬鹿だ。」




子供みたいな言い合いしている途中、隼人が私の頭を優しく撫でてくる。


なんだかそれが気持ちいい。