「涼…大丈夫だよ?」

「え…。」

「あたしは離れていったり
 しないから。」

「うん。」



たまに怖くなる。



栞が…いなくなってしまう
んじゃないかって。



こうしてないと…。



どこかに行きそうで。



怖い。



「大丈夫だよ。」



そう言って栞は背中を
さすってくれた。



「かっこ悪ぃな。」

「そんなことないっ。」

「俺も弱くなったもんだな。」

「涼…。」

「昔はこんなんじゃ
 平気だったのによ…。」



好きになればなるほど怖い。



「あたしだって…。
 あたしだって怖いよ?
 いつ涼が離れていくか
 分かんない。
 また…振られるんじゃないかって。」

「栞…。」



2人とも同じ気持ちだったのか。



「あたしたち同じ気持ちだね♪」

「だな。」

「だから大丈夫だよっ。」

「そうだな。」



黒い影が忍び寄ってるなんて
2人には知る由もなかった。