『初めまして…。本田芳枝(ホンダヨシエ)と申します…。』


初めて彼女を目にした時から


止まっていた歯車は動き出していたのかもしれない…













『いやあ、本当に頼もしいよ。悠紀雄(ユキオ)くんのような人がうちの娘を貰ってくれるなんてね。』


私は曖昧な笑みを返した


好きでもらう訳ではない…


これは既に決定事項


会社の為に利用できるものはなんだってさせてもらう


たとえ自分の結婚を犠牲にしてでも…


『芳枝も何か言いなさい。悠紀雄くんはお前の夫になる人だぞ。』


本田さんは隣に座っていた彼女を話をするように促す


「……お父様。私…外の空気を吸ってきますわ…。」


彼女はそう言うと謝罪もなしに部屋から出ていった


私はその後ろ姿をぼんやり眺めた