『相楽ぁ~家に帰りたい―っ!!』



社長は机の上にバサッと書類を叩きつけた



「あと少しじゃないですか…頑張って下さい」



私は小さくため息をついた



毎度のことながらこのワガママ社長には付き合いきれない



『美弦に会いたい――っ!!』



ブーブーと口を尖らせる仕草はとても35という年齢を感じさせない



「私だって早く帰りたいですよ…」



家には愛する妻と3歳になる子供が待っているのだ



間違っても仕事以外で社長と過ごす時間などない



私は社長を適当になだめ、書類に向かわせる