「また…ヤっちゃった…」
バイト先に向かう途中で軽く自己嫌悪に陥る
毎回毎回わかってるのに…
軽くため息をつく
“俺のものになれ”
確かにあいつはそう言った
あの時の私は驚きすぎてその言葉の本質を取り違えていたようだ
想われてると思った
あいつに
あんなに激しくキスなんてするからだっ…
勘違いをした自分をこれ以上ないってほど憎く思った
旅行から帰ってきてしたことと言えばあいつの気紛れで呼び出されて…抱かれることくらいだ
そう…
よくよく考えてみたら私はあいつからハッキリとした言葉を聞いていていない
“好き”“付き合おう”
そんな類の言葉が発せられたことはこれまで一度としてなかった
私は…言ってしまった
バカなことに
自分に好意を持っていると知った匡人が私を都合のいい女として考えるのも仕方がないかもしれない
抱きたい時に抱ける女
今の私はそんな位置づけだろう