俺が死んだのは二十五の冬。
当時俺は仕事でニューヨークに来ており、毎日忙しい日々を送っていた。寝る間もなく働く俺を癒し支えてくれたのは、婚約したばかりの彼女だった。
彼女は日本に住んでいたが、たまに長い休みを取ってわざわざニューヨークまで会いに来てくれる。
あの日も彼女を空港まで迎えに行き、買い物や食事をして久しぶりの二人の時間を楽しんだ。
だが、その楽しい時間も一本の電話がかかって来た事により奪われた。
食事をし終えて歩いてアパートに帰る途中、俺の携帯に会社から電話がかかって来た。
俺は電話に出たが電波が悪く聞こえづらかったので、彼女を一人そこに残して電波のいい所まで移動したんだ。
けどそれが間違いだった。