零と移動した場所は、居心地の良かった達也の部屋だった。さっきまでの悪夢のような光景から懐かしい部屋に移動して、達也はほんの少し安心した。
零は部屋に移動し達也から離れると、何の迷いもなく達也の顔を思いっきり殴って来た。
「!」
霊同士だと触れられるし痛みも感じる。さすがに血が出る事はないが、こんなに強く殴られたのは初めてだ。
衝撃で達也が床に倒れ込むと、零は怒りを隠し切れない顔で睨み付けて来る。
「俺は言ったはずだぞ…死神が現れたら逃げろと。なぜ逃げなかった…」
「……」
俺だって逃げるつもりだった。でも、祐介を置いて逃げる事なんて出来なかった。俺だけ助かったって何も嬉しくない。
「あの子供を救えると思ったか?死神に勝てると思ったのか?」