でも病院での家族や美樹、そしてさっきの親子を見ると、俺だけが不幸じゃないんだと思った。
どうする事も出来ない時間をどうにかしたいと思ってるのは俺だけじゃないんだ。みんな、あんなに泣いて本気で悲しんでた。
「俺、みんなに悪い事したな」
ボソッと呟くと零は煙を吐きながら適当に答える。
「死んだ人間が何言ってんだ」
「だな」
俺にも、みんなにも、もうどうする事も出来ない。俺が今出来る事は、零にくっついて神の使者の仕事をするだけ。
ただそれだけしか出来ない。