そんなことを思っていると。
「あれ?瞬やん!
お前ここ受けたん!?」
さらさらの黒髪に丸い瞳。
人懐っこい笑顔を見せて、私の隣にいる人に近づいてきた。
瞬、って名前なんだ。
「え、彼女!?瞬に彼女!?
ちょ待」
「待ってほしいのは俺の方だから。
つかお前絆創膏持ってねぇ?」
「あ、私持って」
"持ってるからいいです"
そう言おうとしたら瞬くんの手は私の口を抑えた。
頬がかあっと熱くなる。
男の人にこんなことされたの初めてで…
視線をどこにやればいいか分からなくてずっと下を向いていた。
「はい、絆創膏。
っとー…名前なんちゅーの?
俺は橋本理久!んでこの愛想ない奴が齋藤瞬!
ここの高校やし、仲良くしてな」
笑顔がすごく可愛い橋本くん。
男に可愛いなんて言っちゃだめなのかもしれないけどね。
「えと…桐野千奈です。
よろしくお願いします!」
